もくせいのわ
散らばった金木犀の花は、砂糖菓子のようだった。
それは嵐の翌日、雲が切れて晴れた空にまだ残る強い風。
小さな気持ちばかりの庭に生えた金木犀は、風に揺すられ花を落とした。
地へふりかけるかのように、数日前に開いたばかりの花を散らす。
金木犀の花は香りを漂わせながら降り積もった。
まるで洋菓子の上の飾りのように散らばるところも、隙間なく重なるところも、美しい。
形そのままに着地した花はまだ水気を持ち厚みがあり、生きていた。
私は頭で想っていた。
おもしろおかしく無造作に落とされる少女の首が、笑顔のままでやけに愛らしい様を。
甘い秋晴れの午前のこと。